「体臭」・・体のにおいとは、そもそもどのようなシステムで発生していくものなのでしょうか。汗をかくと、においを感じる時がある。では汗自体ににおいがあるのでしょうか?汗をかくこと自体はそもそも健康の証でもあり、体にとっても良いことですよね。では悪者扱いされる体臭と汗の関わりはどのようなことなのか、体臭の解説と、体のにおい改善についてご紹介していきます。
もくじ
1.体臭を学ぼう!
自分のニオイはなぜ自分では感じにくいのか?
香水などつけていない限り、自分のニオイってわからないものだと思いませんか?自分の素のニオイって?ましてや自分がくさいかどうか、どうやって確かめればいいのでしょう。これが簡単なようで結構難しいことだったりします。
例えば、他人の家へ入ったときなど、ニオイの違和感を感じたことはないでしょうか。自分の家のニオイに関しては、いつもの空間に慣れてしまって感じにくくなっています。それは、自分の体についても同じことで、人間は慣れてしまっているニオイに感じにくくなっているのです。
通常、衣服を着ているときには、まったくニオイを感じないものですが、脱いでみたとき改めてニオイをかいでみると、「あっ、くさい」と感じるわけです。
脳が「消して」しまっているんだよね
においを感じて恥ずかしくなったことがあるわ!
2.体臭を改善してゆくには
体臭と呼ばれるものの正体とは?
体臭を改善していく前に、まず体臭と呼ばれるものの正体は具体的に何なのか。人間の皮膚には、全身にあるエクリン腺と、体の特定の場所のみにあるアポクリン腺という2種類の汗腺から汗を出しています。(この2種類の汗腺については後述します。)
そして、皮膚表面の角質の細胞の死骸である垢が皮膚に付着しています。これらが体臭の原因と思われがちですが、これら自体ににおいはありません。では、なぜ汗をかくことにより、体臭を感じるのかというと、脂肪やたんぱくが皮膚常在菌によって分解され、脂肪酸になることによってにおうようになるのです。
新陳代謝が活発な思春期は男女ともによくにおいますし、特に男性は男性ホルモンの働きにより、皮脂腺やアポクリン腺の働きが活発で年をとっても皮脂が減りません。
これら汗や皮脂は悪者にされがちですが、汗は体温を下げ、皮脂は肌の乾燥を防ぎ、常在菌は病原性菌が体に住みにくくするという重要な働きをしています。
2種類の汗腺(エクリン腺とアポクリン腺)
体臭を改善してゆく前に、汗はすべて悪いものと決めつけず、汗には2種類あり、ニオイを発さない流して良いサラサラ汗と、ニオイを発してベタつきのある汗があるということを理解しておかなければいけません。汗は、体の表面にたくさん存在する汗腺から出てきますが、汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があり、この2つは分布する部位や汗の質、ニオイなどに大きな違いがあるのです。
エクリン汗(におわない良い汗)
全身のいたるところに分布し、肉眼では見えない小さな汗腺で、1㎠に100個以上存在しているそうです。エクリン腺から出る汗の成分は99%以上が水分なのでサラッとしていて、ほとんど無臭なのが特徴です。残りの1%以下に塩分や尿素、アンモニアが混ざっています。そして、エクリン汗をかいた直後は皮膚が酸性に傾いているので、皮膚の常在菌が繁殖しにくく、これがニオイの発生を抑えてくれている要因でもあります。
ポイント
アポクリン汗(におう悪い汗)
栄養分が豊富で、粘り気のあるのが特徴の汗を出すアポクリン腺は、ワキの下やおへその周り、耳の外耳道、乳首や陰部、肛門の周りなど、体の一部にだけ分布していて、毛穴と出口を共有している大きな汗腺になります。そして成長に伴い大きさが変化するのも、アポクリン腺の特徴であり、第二次性徴期を迎えるころに大きくなり、老年になると小さくなります。思春期のころになると、たんぱく質や脂質、糖質、アンモニアなど、やや粘り気のある汗が出てきます。これらは栄養豊富なうえに塩分をほとんど含まないので、皮膚の常在菌が繁殖しやすくなるため、その発酵臭が独特のニオイ、いわゆるワキガ臭となる原因です。
ポイント
良い汗と悪い汗
におわない良い汗と、におう悪い汗を上記で説明してきました。汗の出る仕組みをもう少し掘り下げて説明を加えていきますね。
良い汗、エクリン腺から出る汗は、体温が上昇すると、血液からミネラル分と水分が汗腺に取り込まれ、この際に体にとって必要なミネラル分は血液に再吸収されて、水分とわずかな塩分だけが汗として皮膚表面に排出されることが本来の汗である「良い汗」なのです。血液への再吸収機能がうまく働いている良い汗はより水のようにサラサラとした汗に近づきます。そしてさらには、水に近い性質ということで、蒸発しやすく、気化熱による体温調整もスムーズに行われるのです。スポーツをしていて大量の汗をかいた青春時代を思い出しますね。あの頃の汗は良い汗でした!
一方、悪い汗、アポクリン腺から出る汗は、汗腺の機能が鈍り、ミネラル分を再吸収してくれず、水分と一緒に対外に排出される汗は、ベタベタしていて蒸発しにくいのが特徴。そして体温調節もうまく働きません。しかし大人であり、現代人である我々のほとんどがかく汗はこの「悪い汗」といえます。原因として、肉類中心の食生活やエアコン完備のような環境で本来の働きを忘れた汗腺に老廃物や角質がたまり、汗をかいた際にこれらの不純物も一緒に排出されてしまうのです。そのほか、ストレス社会や運動不足などによる生活環境も大いに関係しています。
3.体臭改善の適切な方法とは
上記で述べたとおり、いまを生きる現代人なら誰しもが悪い汗をかく要因を持ち合わせていることになります。自分だけではなかったと、ホッとしてしまうところもあったでしょうが、このニオイを持つ汗から発せられる体臭を改善していく適切な方法として、今からすぐ行動に起こせる簡単なことから、自分自身で気を配っていくポイントをあげていきます。
その① ストレスをため込まない
体臭の強さとストレスの関係性は上記でも触れましたが、人間は強いストレス状態になると、自律神経やホルモンバランスの乱れから悪い汗をかく原因となるアポクリン腺が刺激を受け、ニオイを発するもととなってしまいます。
ストレスというのは目に見えないのものなので、どれくらい自分に溜まっているのかという判断をしかねますが、毎日の生活の中で職場や家庭、人間関係などで全くストレスフリーの大人はいない方が珍しいかと思います。
そんな現代人の我々ですが、体臭によるニオイを放つ前にストレスを解消しよう!という「意識=心がけ」をもつことが大切です。
休みの日は、自分の好きなことをする、外へ出て身体を動かす、自分にご褒美を与えてあげる、自身が気分よく過ごせる時間や環境を時には意識して持つよう心がけてみてください。
その② 食生活に気を配る
1日3食の食事から特に気を配りたいポイントをあげてみます。
🔶 野菜類をたくさん食べよう
🔶 特に食物繊維を意識して摂り入れよう
🔶 動物性タンパク質の摂取は控えめに
🔶 糖質やジャンクフードの摂りすぎに注意
-
-
食生活から気になる体臭を改善する!汗のニオイを食べ物で対策しよう
気になる体臭を改善したい!口に入れるものから予防は可能なのか?答えはYes! 食べ物や生活習慣によって人から発する体臭というものは少なからず変わってきます。 体にも、そしてもちろん体臭の ...
続きを見る
その③ 半身浴でしっかり汗をかく
一日の汚れをすっきり落としてリラックスできるバスタイムを、時には有効に使ってみましょう。毎日は難しいかもしれませんが、休日のゆっくりできるときになどに少しプラスαな半身浴のバスタイムを試してみてください。
日本酒風呂
ちょっとリッチな気分で日本酒をコップ一杯入れてみて。
血行を促進してくれる効果があるので、汗をしっかりかくことができ、体臭の元となる老廃物の排出を効果的に促してくれます。日本酒には肌をしっとりさせてくれる効果もあります。
お酢風呂
内側からも外側からも体に良いお酢をコップ一杯入れてみて。
お酢にはクエン酸が豊富に含まれていて、肌を弱酸性に保ってくれる効果があり、さらに大敵である体臭を除去して雑菌が繁殖する予防してくれる、とてもありがたいお酢なのです。
-
-
【体臭を徹底撃退】ニオイよさらば!7つのバスタイム有効活用法
もともと人の皮膚には、特にニオイというものはないのです。 では、なぜ体臭という呼ばれるものが発生するのかというと、主に皮脂や汗が細菌によって分解されることでニオイの元が発生します。分泌腺から出た汗の成 ...
続きを見る
まとめ:体臭を学ぼう!体臭を改善していくために行う適切な方法とは?
汗にはエクリン汗とアポクリン汗の2種類があるということ、そしてその2種類には大きくそれぞれのニオイや特徴があり、全身から出る良い汗と、体の特定の部位から出る悪い汗であること。汗の「基本のき」を紹介してきました。
そして体臭の原因に大きくかかわるアポクリン腺から出る汗がニオイの要因であることも学べたのではないでしょうか。そしてそれを出来る範囲で改善してゆく努力も必要になってくるということです。夏本番を迎える前に、良い汗をかけるよう、バスタイムで汗を流してデトックス、適度な運動やより良い食生活など取り入れ、徐々に体質改善をしていきましょう。